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物のまなざし―ファン・ゴッホ論: ジャン=クレ マルタン Jean‐Clet Martin 杉村 昌昭 村沢 真保呂: 本

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物のまなざし―ファン・ゴッホ論

物のまなざし―ファン・ゴッホ論
 「ひまわり」などの絵画作品や、錯乱の末に自らの耳を切り落としたエピソードであまりにも有名な「炎の画家」ゴッホ。私たちはえてして「狂気の画家」というわかりやすいレッテルをゴッホに貼り、事足れりとしてしまう。しかし彼の狂気、彼の絵画の本質とは、いったい何なのだろうか。本書はこの謎に肉薄している。

   著者はドゥルーズ/ガタリ派の気鋭の哲学者らしく、存在論や現象学の知見を縦横に援用し、古今の思想家・芸術家(ルソー、ニーチェ、ハイデガーなど)の作品や証言を自在に引用しつつ、ゴッホの精神・作品の「内部」を描写している。対象に没入・一体化しようとするほどに自己や思考を放棄し、狂気を帯びてゆくゴッホの内部に入り込む筆者の筆致は鮮やかだ。また、絵画の描写・分析は、さながら文字によって絵画を鑑賞しているように美しく的確である。

   オールカラーで収録された30点を超える絵画作品の美しさとの相乗効果で、本書は卓越した作家論・絵画論であると同時に、優れた美術書にもなっている。哲学的な難解さはほとんどない。随所にゴッホ自身の書簡からの言葉が挿入され、画家の内面を解き明かすのに多大な効果をあげている。「大部分の画家は本当の意味で色彩画家ではないから…彼らとは違った目で見る画家を“気違い”と見なすのだ」というゴッホの言葉は、「病的状態がこの画家の天才性を説明しうるのではなくて、逆にこの画家の天才性が彼の病的状態を説明しうるのである」という著者の表明と呼応して説得力がある。巻末には詳細なゴッホの年譜と、本書で引用された思想家・芸術家の人名解説があり理解を深めてくれる。(濱 籟太)

内容(「BOOK」データベースより)

ゴッホ絵画の謎に迫る。「哲学するゴッホ」が代表的絵画の分析とともにいま解き明かされる!ゴッホの描いたものは何だったのか!?ドゥルーズ/ガタリ派の鬼才が迫るルソーからニーチェ、ハイデガーまでを包摂した究極のゴッホ論

内容(「MARC」データベースより)

ゴッホの描いたものは何だったのか。ルソーからニーチェ、ハイデガーまでを包括したゴッホ論。「哲学するゴッホ」が代表的絵画の分析とともに解き明かされる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

マルタン,ジャン・クレ
1958年生まれ。フランスの哲学者。アルザスのリセで高校生に哲学を教えるかたわら、パリの国際哲学コレージュの研究員としても活動。邦訳書に『ドゥルーズ変奏』(毬藻充他訳、松籟社)がある。本書『物のまなざし―ファン・ゴッホ論』を書き終えたあと、現代芸術やラテンアメリカの作家ボルヘスについての著作を準備中

村沢 真保呂
1968年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在学中。社会学・精神分析専攻。大阪医療技術学園専門学校非常勤講師。論文に「フロイトの神経症論と道徳」、『人間・環境学』第5巻、京都大学大学院人間・環境学研究科、1996年。「過程としての狂気」、『Becoming』第2号、BC出版、1998年。「『おくのほそ道』における創造と狂気」、同、第4号、1999年、など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

目次

1 暁から黄昏へ
2 馬鈴薯を食べる人々
3 海の崇高
4 生を感じ取ること
5 静物
6 花咲く果樹園
7 『夜のカフェ』
8 『詩人の庭』
9 自然と夢想