出版社/著者からの内容紹介
「世間的な分類では、ブラック・ホークはロック喫茶である。ところがその空気は、ロック喫茶らしさからは外れていて、プレイされる音楽が、席を埋める客たちの体に染み込んでいく光景は、いつも静謐といってよかった。そしてその音楽を他所で、たとえばラジオから聴く、ということはまずないのだった。
なぜかというと、ブラック・ホークの音楽は、世間の流行に同調することがなかったからだ。ロック=音量主義の七〇年代初頭には、個人レベルのコミュニケイションを重視してアコウスティック路線をとった。西海岸の音楽が一般化するころには、ゴスペル色の濃い南部のロックに力を入れ、シンガー
&ソングライターにブームが兆せばイギリスの古謡をうたう人達に光をあてた。ヘソまがりではなく、わず
か五〇人で満席のスペース
は、つねに専門店的な使命を帯びるべき、という考えからだった。そこでは何年後かに、"幻の名盤"となるレコード
が、幻ではなくリアル・タイムで流れつづけた。」
(松平維秋『渋谷道玄坂百軒店界隈』1985年
より)



