イメージの氾濫する現代において、「視覚の飽和状態」から抜け出し、感性を清新に保つには、むしろ視覚体験を能動的に実践することが必要なのではないか――こんな問題提起とともに始まる本書は、東京大学教養学部で行われた講義をもとに書き下ろされ、教科書の体裁をとった「実践的美術書」である。しかし、ここで主眼とされているのは西洋絵画の概説ではなく、鑑賞に役立つ知識や、具体的な絵の見方を示しながら、「最終的にあなた独自の絵の見方を作り上げるための、有効な土台となること」である。神話画における「アトリビュート(象徴物)」や、聖書の世界、絵画制作のシステムなど、作品理解のための「知的な手続き」は実に奥が深い。
本書は14、15世紀から19世紀初めの西洋絵画を対象に、神話画、宗教画、風景画、静物画など主題別に12章からなり、各章は代表的作品の分析、ジャンル全体に対するポイント、「絵画の表現形式や受容のされ方に関する重要な視点」と明確に構成されている。章末の文献案内は読者の興味をさらに広げ、各章のトビラに記された簡単な概略と注目点は、レッスンへの心構えを整える心憎い配慮である。
文章は、実際の講義に参加している気分になる口語体だが、絵画から受ける感動を的確な言葉で表現してくれる筆力は心地よさすら感じさせる。「絵を見る面白さ」を伝えようという著者の思いは全編を貫き、読後は美術館へ出かけて実物の絵と向き合いたくなるだろう。(林 ゆき)
内容(「BOOK」データベースより)
絵画をみる、読む、楽しむ。18世紀までの絵画をジャンル別―神話画、宗教画、肖像画等―に取り上げ、実践的に解読。異なる文化から生まれた西洋絵画をみるコツを伝授する。モノクロ図版175点、カラー口絵12点収録。
内容(「MARC」データベースより)
西洋絵画を深く
理解するためのテキスト。神話画、宗教画、寓意画など、18世紀までの絵画をテーマ別に取り上げる。予備知識がなくても読めるよう、講義スタイルで実践的・具体的に解読。西洋絵画をみるコツを伝授する。



